中国大陸の自然
中華人民共和国は日本の26倍の面積を有する広大な大地に悠久の歴史を持ち、亜熱帯から寒帯までの様々な気候区分の地域を含んでいる。1980年代から外国人が入域できるようになったが、とくに国境付近は現在でも立ち入りが制限されている。1989年は故・北脇和光氏、故・高嶋明氏らと長期間にわたり四川省、雲南省、チベット自治区、海南島などを巡り、数多くの成果を得た。これ以降、約10年間は毎年のように辺境を訪れ、その蝶相の豊かさに驚かされた。おそらく台湾を含む中国全体では2000種類を超す蝶類が棲息すると推定される。
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ナムチャバルワ峰の自然
ナムチャバルワ峰(標高7782m)は当時の世界最高未踏峰で、1992年に日中合 同登山隊によって初登頂された。そのわずか2年後に私は単独でベースキャンプまで行き標高4540m地点でミカドウスバParnassius imperatorを発見し、ssp.namchabarwanusとして記載した。たいへん自然が豊かな場所で、多くの高山植物が見られた。
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オウゴンテングアゲハ
本種は1922年に広東省で発見され、翌年に新種として記載された。1988年には海南島での棲息が確認され、現在ではベトナムやラオスでも発見されている。五指山(標高1867m)は海南島の最高峰で、その名の通り5つの尖った峰が連なる。その最も高いピークに本種が飛来する。午前9時ごろから♂が飛来して、山頂付近の灌木に翅を広げて止まる。午後1時を過ぎると、ほとんど姿を消してしまう。♀は山頂の上空高くを通過するだけで、灌木に止まることはほとんどない。
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ウンナンシボリアゲハ
イギリスのプラントハンターであるジョージ・フォレストが1918年ごろ雲南省で2♀を採集していたが、1939年に新種として記載された。長らく採集された場所の詳細が不明であった。1981年、四川省のミニヤ・コンガ峰の登攀を目指した北海道山岳連盟登山隊の梅澤俊氏らがその山麓で本種を再発見したことは、当時のマスコミで大きく報道された。1989年、故・北脇和光氏が雲南省の土官村で本種(基準タイプ亜種)を偶然見つけ、後日に私も当地を訪れた。シナシボリアゲハとの混棲地で、食草はモッコウウマノスズクサ。
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オナガギフチョウ
1944年に陝西省・秦嶺山脈で李伝隆氏により発見されたが、公表されたのは1981年である。1989年に私と故・高嶋明氏が秦嶺山脈で偶然本種の産地を見つけ、ウマノスズクサ科タカアシサイシンSaruma henryiが食草であることを見出した。シナギフチョウL.chinensisとの混棲地である。その後、四川省・大巴山脈、湖北省・神農架でも新たな産地が見つかった。
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プルゼワルスキーウスバ
1884年、ロシアの探検家プルゼワルスキー隊が青海省のブルカン・ブッタ山脈(標高4200m)で本種を発見した。現在ではアッコウスバの亜種とされている。飛翔は非常に素早く、標高4000m以上のガレ場を目にも止まらぬ速さで飛び回る
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オオアカボシウスバ
シベリアから沿海州、中国東北部、朝鮮半島に広く分布する種で、青海省の安固灘(標高3500m)で1987年7月に小岩屋敏氏によって発見された亜種は赤斑が大きく発達して、翅全体が真っ赤な斑紋で覆われた特異な模様を持つ。一見すると蝶が飛んでいないような乾燥地帯で、多数の個体が群れ飛ぶ。
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