ブータン王国
ヒマラヤ山脈の東部に位置する立憲君主国、北は中華人民共和国・チベット自治区、南はインドと国境を接している。最高峰はガンカー・プンスム(標高7570m)、未踏峰である。広さは九州とほぼ同じぐらい、首都はティンプー(標高2320m)にある。長らく鎖国状態にあったが、20世紀初頭にイギリスと外交関係を結び、第二次大戦後は外国人にも入域が可能になった。農業や放牧が主な産業で、国土の大半が森林で覆われ、自然がよく残されている。日本の暖温帯に広がる照葉樹林が各地で豊富に見られる。
ブータンシボリアゲハ
1934年8月、イギリスの探検家フランク・ラドロウとジョージ・シェリフの2人が北東部のタシヤンツェ渓谷でアゲハチョウ科のブータンシボリアゲハを発見し、1942年に新種として記載された。現在では隣接するインドのアルナチャル・プラデシュ州でも棲息が確認されている。2011年8月に私を含む総勢6名とNHK取材班3名、ブータンの現地スタッフ数名が本種の再発見に挑み、見事に成功してテレビで放映された。詳細は日本蝶類学会の会誌『Butterflies(60)』に報告されている(Harada, M. et al., 2012)。
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ブータンシボリアゲハの交尾
空中で雌雄がもつれ合ったと思ったら、地上に落下してすぐに交尾が成立した。それから飛び立って樹上に静止する。上が♀である。
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ブータンミドリシジミ
ブータンシボリアゲハを発見したラドロウらが戦前に標本を採集していたが、新種として記載されたのは1957年である。シッキムやネパールにも分布する。早朝、照葉樹林帯の道路を車で走ると、道沿いの樹林で数頭の♂が緑色の金属光沢を光らせて樹冠を飛び回るのが観察され、標高3000mを超える峠でも飛来個体が見られた。食樹はシャクナゲ科である。
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ドゥルガリンブサイナズマ
ヒマラヤ山脈に分布する大型の種で、ミャンマー北部でも発見された。ブータンでは標高1740mのやや亜熱帯環境で見られ、産地は局所的である。明るい林縁を活発に飛び回り、葉上や崖などによく止まる。
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キゴマダラ
ヒマラヤ山脈からミャンマー、台湾に分布する。♂は地面に翅を広げて止まることが多く、動物の糞などで吸汁する。♀の斑紋は♂と異なり、藍色を帯びるが変異が大きい。
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アオコノハチョウ
ヒマラヤ山脈からミャンマー、タイ、ラオスに分布するコノハチョウの一種。森林性の種で、動物の糞などで吸汁する。タシヤンツェ渓谷では荷物を運んでいたロバの糞に群がり集団で吸汁していた。
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