ミャンマー連邦共和国の自然
インドシナ半島の西部に位置し、旧名はビルマ。首都はヤンゴン(旧名ラングーン)から2006年に北部のネピドーへ移った。第二次世界大戦後にイギリスから独立してからは、しばらく軍事政権が続いた。一時民主化されたものの、2021年に国軍のクーデターにより再び軍事政権となり、現在も反政府勢力と内戦が続いている。
北部はヒマラヤ山脈の東端に当たり、最高峰はカカボ・ラジ(標高5881m)である。1994年から静谷英夫氏がミャンマーを訪れ、1998年から私や斎藤基樹氏が加わり、北部のカチン州、北西部のサガイン管区、西部のチン州など未開の地を訪れ、数多くの蝶類の新種・新亜種を発見した。この時期は軍事政権下でありながらも外国人の入域が緩和され、許可を受けて奥地へ入ることができた。 とくに日本ではなじみ深いミドリシジミ族Thecliniの種類の多様性には驚かされる。
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亜熱帯地域から雪山を望む
2000年5月、インド国境にあるポンカン・ラジ(標高3440m)に登った時に、山麓のジヤダンから雪山が見えた。まさか亜熱帯地域から雪を頂いた山々を見ることができるとは思わなかった。山頂付近は未だ深い雪に覆われており、蝶類はクモガタシロチョウを除いてほとんどいなかった。
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蝶類の吸水集団
北西部のサガイン管区のパンサウンを目指したときに、第二次大戦中にイギリス軍と中国国民党軍が建設したレド公路を通った。標高300m付近はフーコン谷地と呼ばれる湿地が拡がる亜熱帯環境で、未舗装の泥だらけの道路上に日が差すと、蝶が次々に飛来して吸水集団を作る。アゲハチョウ科のアオスジアゲハ属Graphiumやアゲハチョウ属Papilio、シロチョウ科のトガリシロチョウ属Appias、シロモンルリマダラなどがたくさん見られた。
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フタオチョウ属Polyuraの吸水集団
カチン州のジヤダン(標高1130m)の河原に午前9時ごろからフタオチョウ属の吸水集団ができる。フタオチョウやドロンフタオ、アタマスフタオなど数種類が混じる。この場所ではタカネクジャクアゲハPapilio krishnaなども飛んで来る
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コーティアンミドリシジミ
2012年6月に静谷英夫氏らによって、チン州ミンダMindatの標高2200~2300mのヒイラギガシの疎林で発見された原始的なミドリシジミ族Thecliniの一種。小岩屋敏氏が同年に新属新種として記載した。小型で雌雄とも茶褐色の地色に前翅に黄白斑があり、一見するとアシナガシジミの斑紋に似る。午前中は不活発で、ヒイラギガシの葉上などに止まる。午後~夕方になると樹冠を飛ぶ。種名はミャンマー人のガイドであるコ・ティアン氏に因む。
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キオビシジミタテハ
アッサムやタイにも分布する。♂は前翅に黄色の斜帯があり、♀は黄白色になる。2014年5月、サガイン管区にあるナガヒルの最高峰であるサラマティ山(標高3826m)への登山ルートは見事な原生林で覆われていたが、蝶類は種類・個体数ともに極めて少なかった。
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テンジクゴマダラ
ヒョウモン模様の特異な種でかつてはイナズマチョウ族Adoliadiniの仲間とされていたが、幼生期は不明である。ヒマラヤ山脈からミャンマー、タイ、ベトナムにも分布する。
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